しかしその一方で、もし中国政府が挑発をエスカレートさせることにこだわり、尖閣諸島周辺の領海に侵入したり、もしくは、尖閣諸島への上陸をもくろんだりするなら、日本としては、「防衛措置を強化させねばならなくなる。その一環として自衛隊の尖閣諸島への配置も視野に入れる」ということを明確に知らしめるべきだ。
この処方箋には重要な意味がある。日本の一部には、自衛隊を今すぐ尖閣諸島に配置すべきだと主張する動きが見られるが、それはあまりにも挑発的だからだ。
ただし、「日本は緊張緩和と経済協力の促進を望んでいるが、中国による合意違反や、ましてや尖閣上陸などはまったく許容できない」という旨をはっきりと主張することは非常に重要だ。ここは、平和的解決から軍事的解決へと移る、越えてはならない一線だ。
この処方箋に従えば、日本は攻撃を意図しているのではないことをはっきりと示す一方で、防衛措置の強化が正当化できる。
日本は実効支配の島を守り抜くべき
中国が払う代償とは、日本が防衛をさらに強化する結果として、中国にとっては痛手を被ることなく「削り取り」戦略をやってのけることができる、ということだ。
私たちとしては、作用・反作用の力学からは脱したい。しかし、数々の選択肢の中でこの選択肢を完全に否定することはできない。高圧的な態度に出ることが必要となる場合もあるからだ。
日米両国が議論している内容の90%は友好的な姿勢で、中国と協力関係を築こうというものだ。しかし10%は、文明社会にふさわしい行動にはなはだしく違反すれば代償の支払いが待っている、ということを、中国に対してはっきりと示すという内容だ。
中国が尖閣問題を危機に発展させようとしている背景としては、国内事情、人民解放軍の増強、ナショナリズムの慰撫などが考えられるが、理由が何であれ、尖閣諸島に関する中国の行動はまったく受け入れがたいものであり、日本は現在実効支配している島々を守り抜くべきだ。
――自衛隊は、何らかの体制の変化が必要でしょうか。
すでに「防衛計画の大綱」が優れた方向性を打ち出している。第一歩としては、「防衛計画の大綱」を実行するために十分な予算を割くことだ。
潜水艦を増やすことも非常に重要だ。上陸作戦に関して、米国の海兵隊が自衛隊の訓練に当たることも必要になる。日本政府は水陸両用艇を4機追加することを計画しているが、これは極めて大事なことだ。
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