習近平は政治改革を避けて通れない 景気・経済観測(中国)

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これほど多くの領域の調整を必要とする改革の場合、党中央・政府が各領域への影響を俯瞰的・系統的に考えて改革の全体設計図を示し、推進する必要がある。中国で言うところの「頂層設計(Top-down design)」だ。

ただし、「頂層設計」の場合、合意形成は容易ではない。一部地域で手の付けやすい領域から実験を始め、その成果をもとに政策の正当性を訴え、徐々に全国に展開していくといった改革開放初期に多用された手法がとれないからである。

実験ができない以上、多くの人々の「事前合意」によって政策の正当性を確保する以外ない。しかし、利害関係が交錯し、対立が激しい場合、どのように意思決定するか自体が大きな争点となる。

しかも、国民の権利意識は高まっており、抗議運動も増えているため、党内やコアの既得権益層の合意だけでは不十分となりつつある。より民主的な意思決定の必要性の高まりと一党支配体制の維持の狭間に中国共産党はある。

その狭間で揺れる中国共産党が支配の正統性を保つうえで、腐敗・汚職の撲滅が急務となっている。腐敗・汚職に対する国民の不満は、所得格差と並び強い。国民やメディアによるモニタリング強化、法治の徹底などを通じて自浄能力を発揮しなければ、新指導部の舵取りはさらに難度を増すことになるだろう。

困難な利害関係の調整が必要な分野ばかり

今回の党大会では、2010年対比、GDP、1人当たり所得を2020年までに倍増させることが目標に定められた。年平均7.2%の成長という計算になる。財政余力がまだ残されているため、経済発展メカニズムの歪みを度外視すれば、数値目標は何とか達成可能かもしれない。

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