ノーベル文学賞受賞で“莫言の経済効果”は 著者の年収は2億元以上!?
ノーベル文学賞の受賞が決定した作家・莫言をめぐって、さまざまな“開発”が始まっている。
新作は予定を早めて発売され、作品の映像化権で争奪戦が起きている。地元は6・7億元(1元=約12円)を投じて「紅い高粱(コーリャン)」による文化発揚を狙い、出版社は上場準備中。莫言に北京の一戸建て住宅を贈呈すると言い出す企業家も現れた。
「莫言は中国人のみならず中国文化の誇り。中国にとって極めて得がたい社会資源だ」との声まである。莫言の今年の収入は2億元になるという予測も出ているほど。押しも押されもせぬ中国作家初の富豪である。
莫言の最初の収入は、約750万元相当のノーベル文学賞賞金だ。中国の税法では課税対象外になる。さらに大きいのは印税収入。受賞決定から7日後に発売された新作『我らの荊軻』の初版は20万部。莫言と版権契約を結んでいる北京精典博維文化発展有限公司(以下「精典博維」)は「10月末の発売予定を中旬に繰り上げた」と打ち明ける。まもなく出版される『莫言文集』(全20作収録)の初版は100万部を予定。セット定価は約7000元。7億元の売り上げを見込む。このほか、年内に4冊の新作が発売される予定だ。
ノーベル文学賞を受賞したガルシア・マルケスの『百年の孤独』の中国語訳は、昨年の発売開始以来1年で220万部を売り上げた。業界関係者は「莫言の作品は中国の読者にとって『百年の孤独』より身近。新作の販売部数は、それぞれ220万部突破は堅い」と話す。
莫言の印税率は不明だが、精典博維によると少なくとも10%以上で、国内の作家ではトップだという。10%であれば、『莫言文集』の印税収入は7000万元。『我らの荊軻』など残りの新作5作については、『我らの荊軻』の定価36元を基準に各220万部の販売部数で計算すると、印税は4000万元近くなる。新規出版分の印税だけで1・1億元だ。
このほか、映像化の著作権使用料もある。精典博維には、受賞決定後十数時間のうちに20社以上の映画会社が金額を問い合わせてきたという。莫言作品の著作権使用料は1作当たり1000万元クラスだ。
さらに地方自治体からの賞金もある。競泳でロンドンオリンピック金メダリストの孫楊氏は、地元自治体から500万元近い賞金をもらった。山東省の各自治体が莫言に出す賞金は孫楊よりもかなり多いはずだ。
これらに加え、すでに出版された作品の印税収入や海外版権収入などで、莫言の今年の収入が2億元に達するのは間違いない。