ノーベル文学賞受賞で“莫言の経済効果”は

著者の年収は2億元以上!?

地元にテーマパーク建設 文化関連企業株も上昇

莫言の地元である山東省高密市は、目立った産業もブランドもなかった。莫言の受賞決定でその運命が変わり始めた。高密市は6・7億元を投資して、「紅い高粱」をテーマにした観光地の建設に乗り出した。閑散としていた莫言文学館の入場者数は十数倍に急増し、受け入れが間に合わない状態だ。現在、高密市では拡張工事を予定している。

高密市の楊建華市長は、「莫言の故郷」を高密の観光ブランドにし、「紅い高粱」を観光資源化すると意気込む。専門家も「観光客数が増えれば、ほかの地元産業を牽引し、投資誘致もできる。紅い高粱が金のなる木になる日も間近だ」と話す。

精典博維は今年5月、莫言の中国国内におけるすべての版権を買い取った。精典博維販売部副主管の唐娟氏は「莫言の受賞はプロダクションが契約した映画スターがアカデミー賞を受賞したようなもの」と話す。受賞決定後、莫言作品の印刷部数は跳ね上がった。第8回茅盾文学賞を受賞した『蛙』(邦題『蛙鳴』)の印刷部数は約20万部だったが、受賞決定後発売される新作は少なくとも50万~100万部になるという。

書店では、ダフ屋が値段を吊り上げないように、身分証による実名制販売に踏み切るところまで出てきた。購入は1人2冊まで、しかも10日前までに予約申し込みが必要だ。

ネット書店でも莫言作品の多くが売り切れている。あるネット書店では、莫言の受賞決定以来、代表作は1日当たり1万部以上売れ、販売部数は以前の20倍を超えた。

資本市場でも「莫言効果」が表れている。受賞発表翌日の10月12日、上海と深センの両証券取引所では、寄り付きからメディア文化企業関連株が大幅ストップ高となった。また、精典博維は上場準備を進めているという。証券会社の分析では、莫言の受賞で上場が早まり、上場時期は2015年になるとみられる。

莫言の受賞は中国にとって製品輸出から文化輸出へのターニングポイントになるとみる経済専門家は多い。「受賞は中国文化の世界進出におけるマイルストーンだ」との声も聞かれる。すでに多くの海外出版社が精典博維に問い合わせ中。ある出版グループ関係者は「莫言個人を祭り上げるのではなく、さらに多くの文化をどう輸出できるかを熟考すべきだ」と話している。

(『中国経済周刊』10月22日号/趙名月、李勇記者 =週刊東洋経済2012年11月10日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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