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週刊文春編集長が明かすスクープ連発の裏側 「スクープは狙わなければ取れない」

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新谷:甘利大臣の記事もそうだし、今回の舛添都知事も、クビを獲ってやるとか、辞めさせてやるとか、社会正義を実現しなければならないとか、偉そうなことを大上段から振りかざしてやっているつもりはまったくないのです。そんな上から目線は週刊誌らしくないし、少なくとも私はやりたくないんですよ。

木本:もっと軽い気持ちで読んでほしいと。

スクープには4種類ある

新谷:現場ともよく話すのですが、スクープには4種類あります。やる意義があるスクープと、やる意義がないスクープ。世の中的に伝える意味があるかないかですね。もう一方で、売れるスクープと売れないスクープ、がある。

木本:その組み合わせ。2×2で4種類ですね。

新谷:私たちがつねに目指しているのが、「やる意義があって売れるスクープ」。これがベスト。「やる意義がなく、売れないもの」は、はなからボツ。となると頭を悩ませるのが、「やる意義があるけれども、売れない、地味な」記事と、「世の中的にはハデだけど、やる意義はあまりない」記事のどっちをやるのか、あるいはどっちの見出しを大きくするのか。毎週迷っています。

木本:その差は、面白いですけど、「売れへんやろうな」と判断してボツになるネタは多いんでしょうか?

新谷:現場の記者は根っこの部分で皆とても真面目です。お金儲けをしようと思えば、別の商売もある。週刊誌の記者ってそんなに儲かるものではありません。それでも日夜、夜討ち、朝駆け、張り込みをなぜやっているかと言えば、スクープを取りたいのもありますが、世の中の役立ちたい、こんな不正は許せない、という気持ちがある。

記者からは「こんな不正が行われている。こんなことをやらせておいていいんですか?」というネタがよく上がってきます。狙いはいいけど、世の中的には誰も知らないよ。こんな会社知らないし、地味なネタだな、となるけれども、そういうものを売れないからと片っ端からボツにしていくと、現場はもたないんです。

編集部はいま55人ほどの所帯ですが、モチベーションが落ちていく。「売ることだけ考えてもっとハデなものだけもってこい」と言うと、現場は「売るためだけ」にやっているのかということになります。売れるネタを仕込みながら、そういう中に地味だけどやる意義があるもの、記者としての情熱をかき立てられるネタをいかに入れていくかがものすごく大事です。

木本:なるほど、それは知りませんでした。お話を聞かないとわからない部分ですね。記者さんたちの気持ちを考えて、記事ができることもあると。新谷さんは人使いの達人でもあるんですね。

(構成:高杉公秀 撮影:梅谷秀司)

後編=週刊文春は「スクープ量産」の好循環に入った

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