週刊文春編集長が明かすスクープ連発の裏側 「スクープは狙わなければ取れない」

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新谷:ケースバイケースですね。まったくないとは言わないですが、基本的には鮮度が大事なので早めに出す。たとえば、ショーンKさんの時は「ユアタイム」が始まったあとのほうがインパクトは大きかったかもしれません。フジのダメージも大きかっただろうし、世の中の注目度も大きかったでしょう。

でも、あの時はシンプルな話で、まともに調べれば経歴詐称はすぐわかったので。フジテレビのニュースの顔になるのですから、ほかのメディアも当然やってきて、どんな人だか調べるだろう。他誌も動いていて、先に出されてしまうと嫌だから、出しちゃった。次から次への嘘まみれがわかったので。それが文春の良心だと評価された人もいて、恐縮してしまいました。単純にほかに抜かれると嫌だから出したのです。

木本:なるほど、僕たちが思っているよりもシンプルなんですね。そして、しゃべっている今この瞬間も記者さんたちは、スクープを狙って外を回っている。

新谷:はい。まさに今この時間も、記者がスクープを狙っていて、種をまいている。芽が出ることもあれば、出ないこともありますし、大きな花が咲くこともある。振らないとバットに当たらないので、振っていくしかない。

木本:スクープの確率はどうなのでしょう?

新谷:最近は上がってきているかもしれません。やっぱり失敗を重ねるほどわかってくる。現場の報告を聞きながら、これは筋がいい、筋が悪いとか。編集長を4年やって、うまく着地できるか、記事化できるかを見極める勘はだいぶ磨かれてきています。

木本:これから、もっと上がりそうですか?

新谷:情報提供が増えているので、選択肢も増えている。その中から本当にいい球を選んで見極めますから。スクープは次々に出していかないと回転していきませんからね。

たまたまスクープに出くわすことも

木本:とにかく明るい安村みたいなパターンもあるんですね。ある噂を聞きましたが……。

新谷:別人を追っかけていたら、たまたま遭遇したというやつですね。

木本:やっぱりそうなんですね。

新谷:別の人を追っかけていたら、安村さんが食事していて、あくまでもついでに追っかけていったらホテル入ったと。じゃあ待つかと。深夜に入って朝には出て来たので、現場は「助かった」と言っていましたが、2人が出てきたので「チワース!」と直撃した。

木本:棚からぼたもちだったんですね。

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