リフレ政策でマーケットはどうなるのか? ハイパーインフレはやってくるのか

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つまり、ギリシャのように自国通貨を持たないわけではないので、原理的には日銀はいくらでも国債を買い支えることが可能ではないか、という楽観的な見通しは実現しない。通貨を持つからこそ、危機は拡大するのだ。

さらに、無制限に買うと宣言しても、現実には無制限には買えない。日銀が音を上げるまでに、投資筋が音を上げればそうなる。だが、実際には、売り浴びせ続け、そうなると、名目金利が上がってしまっているから、民間経済主体、事業体はカネが借りられない。

金融機関は時価会計により破綻寸前、財政当局も新発国債の名目利回りが上昇し、コストが膨れ上がる、などの理由で、日銀に「何とかしろ、お前の責任だ」と圧力がむしろかかる。

制御できなくなっているから、現象としては金融的に解決するしかない。こうなると、引き締めを行わざるをえなくなり、無制限の買い入れはやめることになるし、それを世論やメディアは強く主張するだろう(前に無制限に買えと言ったことは忘れて)。

インフレについては、ハイパーインフレは起きない。円安による、輸入インフレは起きる。エネルギー関連を中心にGDPの1割が影響を受けるとして、そこで1ドル80円がたとえば100円になったとすると、2.5%、インフレ率は3%程度になるかもしれない。

ただ、このときは、名目金利が上昇しているから(たとえば8%とすると)実質金利は5%で結構きつい。だから不況にはなっているはずだ。円安による輸出効果が出る前に、金融機関の破綻が起こり、不況となるだろう。したがって、インフレにならず、コストプッシュ型の輸入インフレで、実質生活水準は低下し、スタグフレーションが起きるだろう。 

次ページアジア通貨危機のような状態に陥る可能性も・・・
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