問題多い「政府の投資回収が狙い」のJAL再上場--再上場を急ぐより経営が「逆戻り」しない体制構築が先決《小幡績の視点》
JALの再上場が批判を浴びている。なぜか。それはあまりにうまく行き過ぎているからである。
JALの破綻プロセスは、2009年の民主党政権の誕生直後であったこともあり、大混乱を極めた。このネガティブイメージが強すぎて、10年1月に会社更生法による再建を選んだ時点では、一応のプレパッケージ型であったにもかかわらず、再建可能かどうかは不透明、2次損失の可能性が高いという意見がほとんどであった。
しかし、わずか1年余りで10年度の営業利益は1800億円を超え、絶対達成できないと言われた更生計画における目標の700億円の3倍弱となった。JALの2次破綻は必至と吠え続けていたメディアや自称有識者は、今度は逆にあまりの高利益を批判し始めた。
再建計画が予想外にも実現
しかし、このような予想外の回復を見せた要因はどこにあるのだろうか。
それは、論理的には既知の収益上昇メカニズムと、新しくJALが変わったことによるサプライズの部分とがある。
既知の部分とは、人員のリストラ、給与の削減、年金給付のカットなど、JALの職員に関する部分であり、会社更生法を申請したときから、これは織り込まれていたが、実現するとは思われていなかった。リストラを何度も試みて、これまで一度も抜本的には実現しなかったから、今度も同様に実行不可能なリストラプランを掲げていると思われていた。
それが予想外に実現した。それゆえ、2次破綻と思われていたのが、大幅営業黒字となったのである。