問題多い「政府の投資回収が狙い」のJAL再上場--再上場を急ぐより経営が「逆戻り」しない体制構築が先決《小幡績の視点》

計画に入っていたが予想以上に実現したものとして、不採算路線からの撤退がある。これは政治的にもスムーズにいくとは思われていなかったが、予想以上に大幅な撤退が実現し、特定空港の拠点から丸ごと撤退した場合も多かった。

そして、実現度合いが予想以上だっただけでなく、その効果も予想以上であった。

無理な安値販売もなくなり、経営資源を集中的に投下できるようになり、そして、部門ごとに独立採算を徹底するという稲盛方式が、貫徹できる体制が整ったということである。

いかなる部門も赤字ではいけない。そうすれば、収益を上げ、コストを下げる意識は徹底し、実現する明確な目標ができる。これは大きかった。

これらの結果、JALは予想を上回る大幅な営業黒字となった。過大な銀行の債権放棄(JALにとっては債務免除)もあったし、裁判所が、少額ではない取引債権をも前例のないまでに保全を認めたこと(今後の運航に影響すると思われるものは、多額でも保全した)、機体の早期償却、財産評定などにより、燃料コスト、運航コストが大幅に低下し、減価償却費も年間780億円といったオーダーで縮小したこともある。

また当期純利益で見れば、多額の一時損失の繰り越しが9年間にわたって認められることから、5年程度にわたり少なくとも400億~500億円の法人税が減免されることになり、これが大きく利益のかさ上げ要因となった。

不公平性とは、同じ経済環境の下、政府支援なしに自力で収益を上げているライバル企業のANA(全日本空輸)に対して、公的救済を受けたJALが、債務免除や法人税の減免により、競争上優位に立つことは、不公平ではないかという議論だ。

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