次の大地震は伊予灘・薩摩西方沖を警戒せよ 予測のプロ・村井俊治氏が語る「熊本の次」
熊本県にある国土地理院の電子基準点22カ所のうち、明確に異常な変化を示し続けたのが2つしかなかった点も理由の一つだ。何度も延長した後で「このまま注意情報を出し続けても」と考えて取り下げてしまったのだが、その1週間後にドーンと来てしまった。これにより、数多くの暴言をネット上などで浴びた一方、励ましもいただいた。
――熊本地震は発生1カ月を経て落ち着いたようにも見えるが。
落ち着いてはいない。地震の日を起点に地面は動く。東日本大震災の際も、日本列島全体が動きに動き、国土地理院がその後半年間、電子基準点の座標を固定できなかったほどだ。世界の電子基準点の動きを見ると、地球がいかに柔らかいか分かる。
プレートを細かく区分けした存在である「地体」は、海の上に乗っている大きな船のようなもので、沈降と隆起を繰り返しながら絶えず、個別に方向を変える。東日本大震災の時には、地震がないと言われる韓国や北京、グアムの周辺でも、事前に動いていた。
伊予灘や薩摩半島の西方沖は引き続き要注意
熊本地震でも、周辺の地体が引きちぎられるように東西南北に動いた。四国の足摺岬と室戸岬周辺の地体の動きは熊本地震によって逆方向に変わっており、歪みが溜まっている。特に中央構造線の延長線上にある伊予灘は要注意。熊本から見て逆方向に当たる薩摩半島の西方沖などでも、大地震が起きる可能性がある。
また、阿蘇山が噴火しない保証はない。江戸時代の巨大地震だった宝永の大地震(1707年)の49日後に富士山が噴火した例もある。尋常ではない動きをしていると思っている。
――愛媛県の佐田岬半島には休止中の伊方原発、薩摩半島の西岸には稼働したばかりの川内原発があるが、大丈夫なのか。
原発の安全性は地震予測と異なる次元の話なので、コメントは控える。
――予測精度を高める方策は?
国土地理院がネット上で無料公開している電子基準点のデータは、2週間遅れで精度の良いものと、最短2日遅れで精度が粗めな「速報」の2種類。ただ、東日本大震災に関しては被害が大きかった基準点で、3日前から位置データに異常が出ていた。
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