熊本地震で新幹線の脱線を防げなかったワケ JR各社で異なる地震発生時の脱線防止対策

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熊本地震発生から約2週間で全線復旧した九州新幹線(写真:さくら / PIXTA)

4月14日から続く熊本地震のため、九州新幹線は一時的に全線で運休するという事態に追い込まれた。特に14日の「前震」時に発生した、九州新幹線・800系電車(6両編成)の回送中の脱線事故は、脱線車両の移動が困難という報道も流れるなど、一時は復旧工事の難航が予想された。

だが、復旧最大の障害だった「脱線車両の除去」は順調に進み、4月27日には九州新幹線(鹿児島ルート)が全線で復旧し、臨時ダイヤではあるものの、28日からは山陽新幹線への直通運行も再開している。

進化してきた新幹線の地震対策

それにしても、新幹線の脱線というのは大きな問題である。その対策について現状はどうなっているのだろうか。この機会に、改めて確認をしておくことにしよう。

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2004年の新潟県中越沖地震で脱線した上越新幹線(写真:masa9 / PIXTA)

新幹線の脱線事故といえば、2004年10月の中越地震の際に200系電車が上越新幹線の「浦佐〜長岡」間で脱線した事故が思い浮かぶ。あの時は高速運転中の営業車両であっただけに社会に大きな衝撃を与えた。この中越地震の事故を契機として、新幹線の脱線対策が強化されていくのだが、その大きな柱は地震発生時の緊急停止という問題だった。

JR各社は独自の地震計を設置して、P波(初期微動)を検知するとすぐに送電を遮断し、車両側では送電遮断を感知すると即座に非常ブレーキがかかるようなシステムとなっている。2011年の東日本大震災においても、今回の熊本地震においても、多くの営業車両が高速運転を行っていたが、安全に緊急停止しているのはこのシステムによるものだ。

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