熊本地震で新幹線の脱線を防げなかったワケ

JR各社で異なる地震発生時の脱線防止対策

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JR東海が行った事故復旧訓練の様子(撮影:尾形文繋)

だが、今回の回送車両の脱線のように、実際に車輪の逸脱が起きてしまうようなケースにはどう対処するのか。この点に関する対策の方向性は、JR東日本+JR北海道と、JR東海+JR西日本(北陸を除く)+JR九州の2つのグループで異なっている。

JR東日本+JR北海道の対策は、まず車両側としては全車両の全台車に「L型ガイド」というL字型の金具を取り付けてあり、万が一脱線した場合でも大きな逸脱を防止する対策が主となっている。これは脱線したとしても片側のレールがL字金具と車輪の間に挟み込まれるため、大きな逸脱を防止できるように設計されている。

ちなみに、2011年の東日本大震災に際しては、仙台駅付近で回送中のE2系電車が脱線したが、この車両には「L型ガイド」がついていた。そのために、脱線はしたものの、大きな逸脱は避けられている。

「脱線そのもの」を防ぐ東海と九州

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疾走する東海道新幹線。2本のレール内に見えるのが「脱線防止ガード」(写真:tackune / PIXTA)

一方で、JR東海とJR九州では、より徹底的に脱線を防止する「脱線防止ガード」という細長い金具(一本が約5メートル)を枕木やスラブに固定する形で、レールの内側に沿って設置されている。

ただ、この方式だと、極めて大きな揺れの場合に「ガードを乗り越えて車輪が横滑り」する危険性もある。その対策としては、「逸脱防止ストッパ」という金具が車両に設置されている。これは、車両のヨコ方向の中心部床下に下向けの突起を設けられており、車両幅の半分を超える横方向の逸脱が起きた場合は、そこで引っかかって止まるように工夫されている。

つまり、日本の新幹線の脱線対策は、東と西では異なっているわけだ。東では、台車の外側に付ける「L型ガイド」が全車両で採用されているが、西では危険箇所を中心に「脱線防止ガード」がレール内側に設置され、車両には「逸脱防止ストッパ」が付くということで、大きな違いがある。

ちなみに、JR西日本の山陽区間では「脱線は防止できないが、大きな逸脱は防ぐ」という簡易型の「逸脱防止ガード」が採用されている。活断層は少ないが、時速300キロ運転をする区間であるので、万が一の事態における大惨事を避けるための措置である。また北陸新幹線については、一部JR西日本の区間があるが、東と同じ車両に設置する「L型ガイド」が採用されている。

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