耳で鉄道を味わう「音鉄」の奥深い世界とは? 駅のメロディや走行音、車内放送に個性…

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鉄道を耳で楽しむ「音鉄」の世界。蒸気機関車の音も運転する人によって変わるという(写真:tesshy / PIXTA)
鉄道趣味というと、写真を撮影する「撮り鉄」や乗車を楽しむ「乗り鉄」といったところが王道。だが、最近導入が増えている駅の発車メロディや踏切の音、車内やホームのアナウンス、さらには列車そのものの走る音・・・・・・と、実は鉄道を取り巻く要素として欠かせないのが「音」だ。鉄道の音の魅力と楽しみ方を紹介した『音鉄-耳で楽しむ鉄道の世界』の著者、片倉佳史さんに「音鉄」の奥深さを聞いた。

耳でしかわからないものがある

――映像ではなく「音」を録るのはなぜですか?

そもそも、鉄道というのは常に音と共にあるものなんです。たとえば客車列車や寝台列車に乗っていると、停まっているときは音がなくなりますよね。そのシーンとした無音の状態もまた音の風景だと思うんです。動けば必ず音が出るし、駅も必ず音に包まれているし、そこに立ち止まってみると見えなかったものが見えてくるという要素があります。

もう一つは、目を使わずに耳だけで鉄道を捉えたとき、耳だけでしかわからないものもあるんです。たとえば、セミは列車が通っても常に鳴いているんですが、カエルは列車が近づくと鳴くのをやめるんですよ。現代社会はみんな目でものを判断していますが、耳を研ぎ澄ませるとこういう部分が見えてくるんです。

鉄道を音で捉えると、鉄道の安全を守る努力も見えてきます。運転士は「出発進行!」など喚呼をしたり、新幹線でも「安全よし」と駅員さんが言ったりしているんですね。必要ないようにも思えますが、人間の不注意や不完全性を補うためにあの一言を必ず言っているのでしょう。それは、安全を守るたゆみない努力の表れだと思うんですよ。そういう部分も見えてくるんです。

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