楽観的すぎる!日銀「展望レポート」

景気・経済観測(日本)

消費税引き上げによる実質所得減少の影響を軽視

問題は、物価上昇に伴う実質所得の減少による影響を非常に小さく見ている点である。日銀は13年度の成長率が0.3%押し上げられる一方、14年度の成長率に対する下押し寄与は0.7%としている。反動減による成長率へのマイナスの影響は駆け込み需要による押し上げの倍となるので、実質所得の減少による影響はマイナス0.1%と見ているということになる。

経済見通しに携わっている者からすれば0.1%といえば誤差の範囲であり、実質所得の減少による景気への悪影響はほとんどないと言っているに等しい。ちなみに、ニッセイ基礎研究所のマクロモデルによるシミュレーションでは、消費税率を3%引き上げた場合の実質GDPの低下幅は0.7%である。

日銀は実質所得の減少による影響が小さくなる理由として、1)増税分は最終的には自らが受益する公共サービスや社会保障として還元されると家計が認識していれば、負担感は税率の上昇ほど大きくならない、2)家計は厳しい財政事情を踏まえて、将来の消費税率の引き上げをある程度織り込んで行動してきた可能性があり、実際に税率の引き上げが行われる時点の追加的な消費の下押し圧力は減殺される、3)消費税率の引き上げによって財政や社会保障制度の持続可能性に関する家計の将来不安が和らげば、家計支出に対してプラスに作用する可能性もある、の3点を挙げている。

日銀が示したこの考え方はある意味では非常に合理的と言える。ただし、実際の家計がここまで合理的に行動するかどうかは別問題だ。消費税率を3%引き上げると消費者物価は約2%上昇し、このことは家計の実質所得が2%減少することを意味する。日銀は実質所得の減少分は消費性向の上昇(貯蓄率の低下)によって相殺されることを想定していることになるが、この仮定が現実的とは思われない。

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