どうなる「財政の崖」 オバマ大統領が再選 

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ついに我慢比べが本格化──。オバマ米大統領は現地時間11月6日、再選を果たした。現職大統領としては失業率が1930年代の大恐慌以来最も高いという逆境を乗り越えての勝利だ。それどころか、民主党は数カ月前まで過半数を割る事態も予想されていた上院でも過半数を維持した。

その理由の一つは出口調査の結果から見て取れる──53%の投票者は今の米国経済の窮状をブッシュ前大統領の責任だとし、オバマ大統領の責任と答えた投票者の割合(40%)を上回った。オバマ大統領の支持率はここ数カ月上向いているうえ、多くは米国は正しい方向へ軌道修正したと考えている。ロムニー氏を選ぶことは米国を大不況に導いた政策へ後戻りすることだと説いてきた成果だろう。さらに、多くの共和党上院議員候補が超保守派の「ティーパーティ(茶会)」系で、中道の有権者に敬遠されたことも追い風となった。

茶会台頭におびえる共和党員

選挙の結果を受け、オバマ大統領と民主党に、より強い権限が与えられたとの見方や、共和党が今回の敗北で譲歩の姿勢を見せると考える向きもあろう。議会での両党の歩み寄りによって、来年1月にブッシュ減税の失効と、歳出削減が重なる「財政の崖」を避けられるという期待も膨らむかもしれない。

が、残念なことに状況が好転する可能性は低い。それどころか、過去4年間米国の「疫病神」となってきた政治の膠着状態が変わらず続くことになるだろう。

敗北を受け、共和党の議会指導部は今後、より強硬な姿勢を示すようになるはずだ。共和党による譲歩の最大の妨げとなっているのは、オバマ大統領への歩み寄りを忌み嫌う億万長者が資金援助をしている茶会系の台頭である。たとえば、インディアナ州の上院予備選では、共和党の重鎮ポール・ルーガー氏が茶会系議員に敗れた。しかし、この議員は今回の選挙で民主党候補に大差をつけられて敗北し、共和党は長らく維持してきた議席を失うことになってしまった。一方、テキサス州では同じく予備選を勝ち抜いた茶会系議員が本選で上院の議席を獲得している。

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