どうなる「財政の崖」 オバマ大統領が再選 

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共和党内での茶会系の躍進におびえるのが、上院の共和党指導者マッコーネル議員だ。うかうかしていては、2年後の自身の選挙で茶会系候補に敗れてしまう。今やマッコーネル議員にとって最大の関心は共和党や国の未来ではなく、自身が議席を維持できるかということである。オバマ大統領への歩み寄りは命取りになりかねない。

そこで、オバマ大統領の再選確定後、マッコーネル議員は「有権者は大統領の1期目の失敗や行きすぎた行為を支持したわけではない」と、「反オバマ」姿勢をあらわにした。さらに、財政の崖を避けるには、議会を通る案をオバマ大統領が提案すべきだとも発言。言い換えれば、共和党上院議員たちは、年収25万ドル以上の高所得者への増税を含むあらゆる債務削減法案に反対するということである。

下院での争いはさらに激しくなることが予想される。議席数こそ減らしたものの、共和党代表団における茶会系議員の影響力は依然強いからだ。

こうした中、下院議長のベイナー議員はすでに、増税と歳出削減がセットになったオバマ大統領の債務削減策に反意を示している。特に増税については「今回の下院選によって、米国民は(オバマ大統領に)増税の権限がないことを示した」と強く反対している。

強硬姿勢に対するビジネス界からの厳しい反応を受け、ベイナー議員もさまざまな税制控除の廃止による税収増なら認めると譲歩。実際、昨年ベイナー議員がオバマ大統領に歩み寄る機運もあったが、その案は代表団に一蹴された。同じことを繰り返せば、代表団によって下院議長をクビにされかねない。

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