前回は、具体的な事例を交えながら、パワーハラスメント(パワハラ)について解説しました。
パワハラは、その態様や程度もさまざまです。関連する相談は増加の一途をたどっています。また、パワハラに限らず、職場に陰湿ないじめがあることも少なくありません。全国の労働局の労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」についての相談は、昨年、25万件を突破。いかに多くの人が「働き方」や「職場環境」に悩んでいるかがうかがえます。
中には、耐え切れなくなって辞めてしまったり、うつなどの精神病を患ったり、ひどいときには自殺につながってしまう事案もあります。では、もし、一部の社員によるいじめが原因で被害者が自殺してしまったら、会社も責任を負うのでしょうか。
従業員のいじめによる自殺~会社も責任を負うのか~
K市の水道局に勤務していた山田さん(仮名)は、同じ課の課長、係長、主査から、集団でいじめを受けるようになりました。課長ら3名は、山田さんに女性経験がないことについて猥談したり、彼の容姿を嘲笑したり……。これだけをとってみても、屈辱的なことです。
しかし、彼に対する仕打ちはこれにとどまりません。果物ナイフを振り回すようなポーズをとる主査から「今日こそは切ってやる」と繰り返し脅されるような日々が続きました。この行為は、刑法上の脅迫や暴行に該当しうる悪質な行為です。いじめ続けられた山田さんは精神疾患を患い、自殺してしまいました。
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