「ブラック企業だから訴えたい!」「上司の仕打ちはパワハラだ!」
最近では、私の働いている法律事務所にこのような相談が多数寄せられています。職場のトラブル、特に対人関係や労働環境で悩んでいる方が、以前よりも増えてきたように感じます。
ほんの少し法律知識を持つだけでトラブルを回避できるケースも多いのですが……。
この法律講座では、いわば「職場の地雷」を踏まないために、ビジネスパーソンが知っておきたい法律知識を易しく解説したいと思っています。
第1回目は、大人社会におけるイジメ、嫌がらせ、パワーハラスメント(いわゆるパワハラ)に焦点をあててみましょう。
熱すぎる指導にご注意!~「会社を辞めろ」というメール~
会社内のトラブルで最も多いのは、上司と部下のコミュニケーションに端を発するトラブルです。上司の立場であれば、時に部下を厳しく叱責したり、怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。ですが、行きすぎた指導はパワハラになってしまうことがあるので、注意が必要です。
実際に、裁判で争われたケースを参考に具体的事例を見てみましょう。
損害保険会社で総合職として働く川島さん(仮名)のパソコンに上司の遠藤部長から「川島さんは意欲がない、やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います」というメールが突如、届きました。遠藤部長(仮名)は直属の上司であると共に、遠藤さんの人事考課の権限も握っています。驚いた川島さんが、宛先をよく見ると同じ職場の従業員十数名ありました。
「何も他の管理職にまでこんなメールを送らなくてもよいのではないか」。遠藤部長の行為に疑問を感じた川島さんはこのメール送信行為は「名誉毀損」及び「パワハラ」に該当すると主張して訴訟提起し、慰謝料100万円の損害賠償を請求しました。
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