ふるさと納税を100倍にした九州男児の手腕 焼き物の街を蘇らせた有田まちづくり公社
今回、JRJP博多ビルの新店舗の壁画について、スターバックスから「コーヒーの樹」と相談があったときに、頭の中に植物系の図案が得意なベテランの職人さんの顔がパッと思い浮かびました。すぐに彼のところに行って相談すると、12メートルという前代未聞のことに驚きを隠せない様子でしたが、それよりも挑戦したいという気持ちが強くて、気づいたら二人とも近くの公民館にダッシュしてました(笑)。12メートルの下書きをできる場所が、公民館以外に見つからなかったのです。模造紙を何枚も繋げて、最初のデザイン案を一気に描きあげました。
ふるさと納税はネット上の発信が主でしたが、リアルでの発信で何ができるかを考えたときに、街のド真ん中のコーヒーショップという人々が行きかうパブリックな場で、有田焼が自然に馴染むことを知ってもらえたらいいな、と思いました。有田焼って現代のライフスタイルに合っていて、なんかかっこいいねって知ってもらいたいなと。創業400年のメモリアルイヤーに、このスターバックスのアートワークに参加できたことに不思議なご縁を感じます。
枝がのびていく方向など、細部にもこだわり
――12メートルもの壁画、いったいどうやって制作しているのですか?
380枚のタイルに分割して描きます。これまで植物の図案は沢山描いてきたけれど、コーヒーの樹ははじめて。スターバックスからは「細くてかつ濃く」というオーダーでした。「細くて薄く」か「太くて濃く」ならできるけど、「細くて濃く」というのは難しかったですね。従来の有田焼はきっちりと色を塗っていますが、今回はあえてラフに色を塗ることで「生命の力強さ」を表現しました。お客様が入店した後、少しずつバーカウンターに近づくにつれて、コーヒーの樹が細部まで細かく描かれていることに気づくはずです。また、見る場所によっていろいろな表情を見せてくれることでしょう。
職人さんもコーヒーの樹をはじめて描くので、何十枚もコーヒーの樹の写真を見ながら研究しました。葉の枚数、コーヒーの実のつき方、枝がのびていく方向など、細部にもこだわりました。たとえば、有田焼ではぶどうの樹はよく描く図案なのですが、ぶどうの枝が横に伸びて行くのに比べ、コーヒーは木が上に上に伸びて行くのを表現しなくてはなりません。しかし、実際には横長の壁画なわけだから、描ききれない上の部分まで想像して表現する必要があります。
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