ふるさと納税を100倍にした九州男児の手腕 焼き物の街を蘇らせた有田まちづくり公社
――制作していて苦労したところは?
生生地(なまきじ)を使ったので、非常にもろく割れやすかったところです。通常の有田焼は素焼きした生地に図案を描くのですが、今回は生生地だったのでちょっとしたことで欠けてしまう。実は、今回の壁画には、泉山の土が使われています。つまり、400年前の有田焼と同じ土地の材料でできています。現代の有田焼は天草の土を使っていて、泉山の土は使われていません。泉山は、今は有田焼にとって日本磁器発祥の聖地のような場所です。
また、非常に大きな壁画ですから、全体の仕上がりがつなげてみるまでわかりにくい。その上、コーヒーの枝や葉が複雑に絡みあう絵柄ですから、タイルとタイルのつなぎ合わせが難しくて。タイルの並び順に左から右へと描いていけば簡単ですが、今回は枝や葉の流れに合わせてタイルをつないで描いていきました。なので、画を描く職人さんと、タイルを運ぶアシスタントの息が合っていないと難しかったのです。タイルを運ぶアシスタントは、有田まちづくり公社のスタッフがやらせていただきました。
――JRJP博多ビルに有田焼が飾られるのが待ち遠しいですね。
タイルが焼き上がって、並べて絵がつながったときはとても感動しました。スターバックスに多くの人達が集まって来て、有田焼のコーヒーの樹を見ながら、美味しいコーヒーを楽しむ。その世界観がとても楽しみで待ち遠しいです。
世界から有田町に人を集める方法とは
――有田町のインバウンドは今、どんな状況ですか?
欧米の方を中心に世界中から集まってきています。特に老舗窯元、幸楽窯の「有田焼トレジャーハンティング」。これは、有田焼の超膨大なデッドストックから廉価で器を掘り出し放題の企画です。まるで器の大海原を泳いでいるような気分になります。また、「うつわ男子」というオーダーメイドのガイドをやらせて頂いているのですが、それを動画を使い紹介したところ、インターネットで全世界中に広がりました。5万回以上シェアされ拡散され続けていて、さまざまな言語で問い合わせを頂いています。有田の先人が作ったものを、世界中の人々がお宝探しに集まる光景にとても感動しています。
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