アコーディアと経営統合の機は熟した PGM社長のTOB会見詳報

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通常のM&Aだと、同業でも企業のDNAが違いすぎるのが難点になる。各社とも創業以来、脈々と続く企業文化があり、M&Aを難しくしている。が、アコーディアとPGMは生まれたタイミングが一緒、ビジネスモデルも一緒で、違うのは(設立当初の)株主がゴールドマン・サックスかローンスターか、だけだった。ところが、株主からゴールドマンもローンスターもいなくなった。ならば、くっついたほうがよい。ほかの業界に比べて今回の統合はめちゃくちゃハードルが低い。私はそう信じて疑わない。

親会社・平和からも融資受ける

買い付け資金については自己資金と、親会社・平和からの融資でまかなう。エクイティファイナンスはしないため、PGM株の希薄化は起こらない。平和グループ全体で見ても、アコーディア株を50.10%買い付けて連結化した場合、PGMも平和も財務の健全性を維持できるストラクチャーになっている。無理な買収ではない。

アコーディアもPGMもキャッシュフローはある。あとはそれを銀行への返済に回すのか、M&Aするか、株主還元するのか、の3つしかない。株主に対して成長していくという約束をする代わりに、余剰資金はM&Aに使わせてくれというのが、これまでのアコーディアとPGMの方針だった。

だが、もうそろそろ、一気に統合して、1つひとつゴルフ場をM&Aしていくことはやめて、既存コースを磨くことに専念し、配当で還元することにしたほうが株主も喜ぶのではないか。私としては今回のTOBで、そういったことをアコーディアの株主にも問うていきたい。

(撮影:今井 康一)

 


 

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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