期待値のわりに残念だったのが福岡だ。観光については文句なく、九州を代表する繁華街・天神をスタートしたときも興奮した。しかし、ゴールが自然豊かな糸島。応援が少なく、感動のフィニッシュという感じがしないのだ。しかも、繁華街へ戻るバス(有料)は大行列で、移動時間も1時間近くかかる。ホテルに到着したときには、もうグッタリしていた。
今年3月に第1回大会が開催された鹿児島も運営面でもう少しだったようだ。Sさんによると、「荷物預けの場所から、スタートエリアまで歩いて30分くらいかかった。ゴール後も歩かないといけない。路面の状態も良くなかったし、トンネル内は蒸し風呂みたいに暑かった」ようだ。その反面、「汽車や船からの応援もあった」とユニークな応援スタイルに驚いていた。また、レース後には、桜島へ行き、足湯を楽しんだようで、「観光はめちゃいい」と話す。
筆者の一番のオススメは…
出場者の多くない大会でいうと、鳥取は「レース前日に行った砂丘は意外に感動した。そのほかは何もないので、スナバコーヒーに行きました。コースはアップダウンがあって、応援の人がものすごく少ない」とKさん。ほぼ予想通りのリアクションだった。市民ランナーの世界では、エリート大会として有名な別府大分は「個人的には一番いい大会。参加人数が少ないので、並ぶことがない。ランナーのモチベーション、レベルが高いので、ハーフの通過でベストが出ました。参加標準記録を突破している間はずっと出場したい」とKさん。温泉街のためレース後の楽しみもある。
筆者のなかで、「旅RUN」として一番良かったのが、熊本城だ。ゴール直前の激坂には苦しめられたが、田んぼの中にはためく大漁旗を初めて見たし、応援が多くてビックリ。街がコンパクトなので、移動がラクで、馬刺し、太平燕、熊本ラーメンなどローカルフードも楽しめるからだ。余裕があれば、阿蘇や天草まで遊びにいくこともできる。震災からの復興でマラソン大会どころではないかもしれないが、熊本は魅力的な街で、素晴らしい大会。またチャンスがあればぜひ出場したいと思う。
最後に個人的なお願いをひとつ。美術館など月曜日に休館する施設が多い。そして、マラソン大会は日曜日に開催される。せめてレースの翌日だけでも、開館していただけたら幸いだ。
近年のマラソン事情を知らない人には、「エッ、わざわざそんな遠くまで走りに行くの?」と不思議がられる。しかし、こんな贅沢な旅を知らないなんて、本当にもったいない。せっかくマラソンを走るなら、行ったことのない場所へ。自分のカラダで街を体験して、完走のご褒美に地元の名物をいただく。なんて幸せな“旅”だろう。「旅RUN」の魅力を知れば、マラソンは何倍も面白くなるのだ。
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