試合前にプレゼン!海外スポーツ指導は斬新 一流アスリートも驚く、目から鱗のメソッド

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語学に関する意識の違いにも驚きがあったのを覚えている。今から16年前、私が高校2年のときに日本をはじめイタリアやフランス、韓国などが参加した国際親善試合で杭州を訪れた時のことだ。試合を終え、現地の選手と交流をする際、中国の選手たちが話していたのは英語だった。

そのとき私は高校生だけではなく、中学生の選手とも会話をしたのだが、杭州に訪れていた日本人高校生たちよりもはるかに流暢な英語を話していた。世界で活躍するために、卓球の技能だけではなく、早くから英語力も鍛えているのだろう。

海外体験で意識が変わった

卓球選手としては残念ながら大成功することはできなかったが、中国での練習や試合を通じて私の練習方法も大きく変わった。練習では、自分の好きな練習を行うだけではなく、苦手とするバックサイドや台上レシーブの習得にも力を入れるようになったし、世界の選手たちと交流するうえで英語を身に付けることの重要性も身に染みて理解することができた。

杉本氏や私の体験からもわかる通り、海外と日本では能力を伸ばすための指導アプローチや、そもそもの考え方が異なるほか、そのために必要だととらえられる能力も国によって異なる(たとえば、中国ではトップアスリートを育成するため、早くから英語力を養うための教育が実践されていたが、日本ではいまだ競技技能の教育のみに焦点が当てられている)。

ただ、必ずしも海外でトレーニングすることがすべてではない。北京パラリンピック、走り幅跳びで日本人初のメダリストとなった山本篤によれば、「トレーニングや指導に対する考え方の違いはあれ、日本でも競技のために必要な技術を伸ばすことはできるし、それぞれにおいて良い点も悪い点もある」。

ただし、長期的なアスリート生活を考慮すれば、トップ競技者になるほど海外遠征や海外大会に参加する機会が増えるため、早いタイミングで海外に飛びだした方がいいだろう。また、そのためにも語学の習得は必須だ。豪州などでトレーニングを積んだ山本も、「どこの国でも言葉が通じなければ、不安になるし、試合のときほど不安が募り、全力で臨めなくなる。できれば小中学校くらいのタイミングで一度留学した方がいい」と話す。

もちろん、誰もが一流アスリートを目指すわけではないので、「若いうちに海外へ」と言ってもピンとこないかもしれない。が、語学習得だけのためではなく、世界各国、国や地域の数だけ色々な価値観や考え方があることを若いうちから知ることや、日本式のやり方だけにとらわれないことは、その後の誰の人生においても有用なのではないだろうか。
 

平尾 諭 EF総合教育研究所研究員

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ひらお さとし / EF総合教育研究所研究員

1983年生まれ、岐阜県出身。中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)卒業。

アマゾンジャパン、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン・グループなど外資系企業を得て、2014年、53カ国で教育事業を展開する世界最大の私立教育機関EF Education Firstの日本法人であるイー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン・グループ(EF)に入社。入社後、オンライン英会話スクール「EF English Live」のマーケティングマネージャーして「EF English Live」の国内のマーケティング戦略を担ったほか、国内のトップアスリートを対象にした英語トレーニング支援を推進。現在はEF総合教育研究所の研究員としても活動し、国内外の教育、人材開発に関する様々な調査分析業務を遂行する。

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