Excelで驚異の絵を描いてしまう74歳の正体

おそらく世界でこの人しかいない!

しかし、これだけの作品である、誰もが到達できるような領域には思えないし、そもそも堀内さんには“絵心”というものがあったのではないか。そう聞いてみた。

「違うんだよ。パソコン画は、“絵心”がいらない。いま俺は館林でパソコン画のスクールをやってるんだけど、生徒はおばあちゃんが中心で、俺みたいに絵なんてやったことない人がほとんどなわけ。それでもね、教えれば誰でもどんどんうまくなるんだよ。だってさ、後から好きなだけ直せるんだから。そりゃ俺みたいな大きな絵を描くには、根気が必要だけど、モチーフをみたまんま描くのは誰でもできる。むしろ、絵心がない人のほうが、先入観がないぶん、成長するのが早い。そしてちゃんと上手く描けるから、みんな確実に達成感を得られるんだ」(堀内さん)

絵心とは「配置」と「心」

デッサンなんか知らない。輪郭なんか後から直せばいい。その精神で描かれたパソコン画は、「これは“絵”ではない」など、展覧会などでも批判があったという。しかし、筆者は、堀内さんの絵を見て感動した。既存の“絵”のルールからは逸脱しているが、出来上がった作品はまさしく絵。絵描きの門外漢が起こしたイノベーションである!

「正直言うと、俺自身“絵心”っていうのがなんなのか、よくわかんなかったんだけど、14年やってて少しだけ見えてきたんだ。要するに“配置”なんじゃないか、って。空間的配置に味を出せば絵になる。料理なんか時間的な配置だよな。いつどのタイミングで調味料入れるか。まあそういうものにはマニュアルがあるだろうけど、マニュアルだけでは届かない感覚があるんだ。剣道でも柔道でも、“型”ってあるでしょ。あれもマニュアルだよ。でもね、マニュアルだけやってても試合には勝てないっじゃない。どうしてもマニュアルでは届かない隙間があって、それが“心”なんだよ」(堀内さん)

感動した。

Excelで出せる色は、RGBの組み合わせで256の三乗。絵具と違い限りがある。しかし、その問題に対し、堀内さんはこう語る。「透過性を調整し、絵を重ねていくことで、ピタっと現物と同じ色が出る一瞬がある。その瞬間は感動だよね」と堀内さんは語る。その精神は、完璧に画家だろう。

今後も堀内さんの絵に注目し続けたい。

堀内辰男さんのホームページ

(文:『GetNavi Web』統括編集長 松井 謙介)

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