Excelで驚異の絵を描いてしまう74歳の正体

おそらく世界でこの人しかいない!

堀内辰男さんは、現在74歳。定年を迎えたある日、パソコンで、しかもExcelという表計算ソフトで“絵を描くこと”を始めた。パソコンもほぼ初心者。さらに、絵は「学校の授業でやったくらい」と、こちらもほぼ初体験だったという。しかし、絵を描きたいならほかに便利なソフトがごまんとある。それがなぜ、Excelという答えに至ったのだろう。

裸の自分を見つめ直したとき、俺は何ができるんだって

「そりゃ定年で収入なくなって年金暮らしになるんだから、専用ソフトなんて高いもの買えない。母ちゃんに迷惑かけらんないから」と笑う。しかし、一方では硬派な信念も持ち合わせていた。「定年で、会社という看板がなくなって、一人の人間になるわけ。会社という看板があれば、仕事も楽にできちゃうわけだけど、これからは違う。裸の自分を見つめ直したとき、俺は何ができるんだって。伊能忠敬は実業家で成功して、49歳で隠居してから、初めて日本地図作りに挑戦したんだよ。50歳からだよ? 俺もそういう挑戦をしたかったんだ」(堀内さん)

堀内さんは、Excelを触っているうちに、オートシェイプという図形描画機能で“絵が描ける”ということに気が付いたという。「最初は一株の君子蘭(くんしらん)から描き始めたんだ。デッサンなんて習ったことないから、とにかく花を手にもって、右手にはマウス。それで、自分が見ているものそのものに輪郭を近づけていったわけ。Excelは頂点を修正できるからね。とにかく見ているものと同じ輪郭を再現することにこだわった」

スタートにあたって、自身で目標を決めたという。最初の3年は、とにかくたくさん花などの生物を写生して、PCに慣れる。次の3年は、最初の3年でたまった素材、3~400のものを組み合わせて「絵」にしてみる。そして最後の3~4年は、パーツを貼り合わせて「作品」と呼べるものをたくさん作り、絵らしい絵をモノにする。この夢の設計図をしっかりと守り、堀内さんは、2006年にパソコン画大賞を「城址の桜」という作品で得る。以下がその作品だ。

2006年にパソコン画大賞を受賞した「城址の桜」
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