そんな中、被災した現地の今の姿をFacebookを使って発信しようと立ち上がった人がいる。九州でも有数の温泉地として知られる由布市に住む川嶋雄司さんだ。川嶋さんは日頃から「宿泊予約サイトでの販売コントロール」という仕事を担っており、由布市にある数多くの温泉旅館に強力なコネクションを持つ。
地震発生当時、たまたま東京に出張だった川嶋さんは「テレビやネットを見ても現地の細かい情報がまるでわからない」と気を揉んだ。そこで帰りの飛行機の中で思いついたのが「旅館の営業再開情報の拡散」だったという。
川嶋さんは4月17日、Facebookのコミュニティサイト『湯布院ファイト! 被災後、旅館の営業再開情報』を立ち上げた。ここには、自らが温泉街を走り回って得た情報だけでなく、地元の人々が積極的に「湯布院のいま」を発信。どの旅館が営業をいつ再開するか、ライフラインや道路、鉄道の復旧状況などをくまなくチェック、現地に住む人ならではの情報がしっかりと伝えられている。そんな取り組みが全国の湯布院ファンたちに評価され、開始からわずか4日間で4000以上の「いいね!」を獲得するに至った。
戦う相手は「マイナス材料を伝えるマスコミ」だ
情報発信を進める一方で、川嶋さんは湯布院温泉にある旅館から「辛い仕事」を引き受けている。それはゴールデンウィークに宿泊する予定だった人々の「キャンセル処理」だ。
湯布院のある旅館主は現状について、「ここでは余震がほぼなくなっていて、インフラもおおむね大丈夫ですね。ボクらも普通に生活してます」と平常に戻りつつあることを強調する一方で、「悪い状況を取り上げたがるマスコミさんがいらっしゃるので、どうしてもキャンセルが出てしまう」と嘆いている。
確かに湯布院の中でも、旅館によっては壁が崩れたり、水道・温泉の配管が破れたりといった「致死的被害」を受けた施設がある一方、地震後も普段どおりに営業できている宿もあったりと、エリアによってかなりの差があるということだ。
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