”ドル箱”鉱山機械も失速、日立建機の懸念
昨年春からずっと下降路線をたどっている中国の建設機械需要。世界的な景気減速のあおりを受けたインフラ工事の停滞が原因である。日本の建機メーカーにとっての不安要因だ。
さらに、この夏まで絶好調だった超大型鉱山機械にも急に陰りが出始めた。
国内2位の建機メーカー、日立建機は10月25日、今2013年3月期の業績見通しを下方修正した。修正後の計画は売上高7400億円(前期比9.4%減)、営業利益560億円(同2.1%増)。従来計画から、売上高で800億円、営業利益で160億円をバッサリ落とした。
日立建機は今期の中国向け売上高見通しを、1097億円(前期比19%減)から744億円(同45%減)に引き下げた。中国の建機需要が想定以上に落ち込んでいるためだ。
さらにここにきてドル箱の超大型鉱山機械にも異変が生じている。東洋経済が8月に個別取材した時点では、日立建機は「受注延期やキャンセルはない」としていた。ところが、資源価格が下がり、鉱山会社が投資先送りや投資縮小に動いていることを背景に、資源採掘用の鉱山機械は石炭関連を中心に受注延期やキャンセルが出てきている。
「これまで超大型ショベルは約1年先、超大型ダンプトラックは9カ月先の商談までいっぱいだったが、この3カ月でそれぞれ2カ月分短くなった」(田部井三浩常務)という。鉱山機械は一般建機よりも利益率が高く、収益の牽引役であるため、需要減は大きな打撃だ。
現段階では、日米を中心とした値上げや設計見直しなどが効き、営業増益を確保する見通しだが、12年10月~13年3月期(下期)にかけて、受注キャンセルがさらに広がれば、会社計画を達成できないおそれもある。ドル箱事業の異変が気にかかる。
(長谷川 愛 =東洋経済オンライン)
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