この国は、もう子どもを育てる気がないのか 日本は「想像力が欠落した国」になっていた

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平田:若者に限らず、少なからぬ国民がアベノミクスに期待していますね。安倍政権が、約40%という岩盤のような高い支持率を保っているのも、国民が高度経済成長期の幻想から抜け切れていないことの表れでしょう。

確かに戦後の日本はアメリカの庇護のもと、大量生産、大量消費することで経済成長してきました。しかし、今やそのシステムは制度疲労を起こして機能しなくなっている。これからの日本に必要なのは、『貧困世代』でお書きになっていますが、「脱近代化」であり、「脱工業化」を目指すことだと思うんです。

「一億総中流」の幻想

藤田:少子高齢化がますます進むのだから、社会のシステムを変えなきゃいけない。そこはみんな気づいているはずなんです。でも、「一億総中流」と言われた時代の記憶がどうしても忘れられない。特に、政治的に力を持っている60~80代の人はいまだにその幻想に囚われているんだと思います。

平田:工業立国の時代なら、教師の言うことを聞いていい学校に入って、安定した企業に入って上司の言うことを聞いていれば給料が上がって、クルマも家も買えた。でも、よく考えるとそうしたモデルって、実は1960年から90年くらいまでのたった30年ほどしか機能していないんですよ。それに、今の時代は産業構造の転換も早いから、若いころ身につけた技術で一生食べていくのも難しい。昔は旋盤工でずっと食べられたけど、今は違う。だから必要なのは「転職できる能力」なんですが、そこが見落とされている。

ずっとネジを作ってきた人に「仕事がなくなったから介護をやってください」と言っても、大変なことですよ。

藤田:日本の場合は、職業訓練のメニューも限られていますからね。

平田:たとえばデンマークは失業保険の期間が二年と長くて、職業訓練でボランティア体験をさせたり、演劇のワークショップを受けさせたりと、コミュニケーション能力を高めるところから始めるんです。

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