なぜ大半の実家は「ゴミ屋敷化」するのか? 大の仲良し「サザエさん一家」も避けられない?

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実家の片づけは、単に物の片づけにとどまりません。空き家率の上昇、介護問題、相続問題とも絡み、複雑になっています。実際、カツオのように実家の片づけに挑んでいる人や悩んでいる人、その予備軍が増えているのです。

実家の片づけを先延ばしにしてしまう、それぞれの事情

カツオの苦悩は、ある日突然始まりました。磯野波平(84歳)が、縁側で立ち上がろうとしたところ庭へ転げ落ち、盆栽に頭をぶつけて救急車で運ばれ、そのまま亡くなってしまったのです。カツオは、病院で泣き崩れるばかりのフネに代わって、真夜中にもかかわらず、当座必要な保険証や現金を取りに実家に戻ってきました。 

勉強は不得意のカツオでしたが、なんとか大学を卒業し、口が達者なことが認められ、就職氷河期にもかかわらず、電気メーカーの営業職に就くことができました。

ずっと地方暮らしの転勤族だったので、帰省するのは正月のみ。気ままな独身生活を送ってきました。それがひと月前に東京本社の係長に昇進し、郊外の独身寮に越すことに。引っ越し荷物の片づけが落ち着いたら実家に顔を出そうと思っていた矢先、波平は逝ってしまったのです。

サザエ(54歳)は、数年前からコンビニでパート勤めをしています。三河屋さんの御用聞きだった三郎さんが店長になって始めたフランチャイズのお店です。

フグ田家はバブル時代の後にローンを組んで、磯野家の近所に夢のマイホームを手に入れました。ところが、マスオが勤めている商社が円高の影響で年棒制(実質減給)になり、フグ田家の家計は火の車になってしまったのです。

そのため住宅ローンのボーナス返済部分を、サザエのパート代が支えています。さらにアメリカの大学院に進んだ、タラオの学費も捻出しなければなりません。忙しいながらもサザエには、波平とフネが年を重ねていくにつれ、実家が散らかっていくのをなんとかしたいという、長女としての気持ちがありました。

心優しいマスオ(58歳)は、数年前から大阪に住む母親が認知症になって施設で暮らしているため、介護割引の効く飛行機や、夜行バスを利用して、たびたび帰省しています。かつてのように波平と碁を打ったり、晩酌をしたりするなど、磯野家で過ごす時間は、ここ数年、ほとんどなくなっていました。

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