緊迫!シャープ “最大の赤字事業”に踏み込まず 迫力不足の「実抜(じつばつ)計画」
だが、現実は厳しい。特にここに来て、最大の赤字要因である中小型液晶パネルおよび液晶テレビ事業に下振れリスクが浮上している。
シャープの売り上げの過半を占める両事業は不採算が続く。中小型については、アイパッド用パネルとニンテンドー3DSLL用パネルを主に生産する亀山第2工場が想定していなかったアイパッド向けラインの生産停止(8月半ばからの約一カ月間)に見舞われ、9月の稼働率は約3割と低迷している。先々週に発売された「アイフォーン5」用のパネルを造る亀山第1工場の稼働率が今後、急上昇したとしても、「中小型液晶事業の通期黒字化は無理だろう」(シャープ関係者)。
一方の液晶テレビは、主戦場・北米での年末商戦が天王山となるが、これまで先行していた50インチ以上の大画面テレビ市場で米ビジオや東芝など競合の猛追が予想されている。成長が期待される中国市場でも、日本製品の不買運動という新たなリスクに直面している。シャープは厳しい戦いを強いられそうだ。
11月頭までに発表される4~9月期決算は、会社計画を下回る可能性が高い。にもかかわらず、今回の再建計画には、両事業のカンフル剤となるような“抜本的”な施策がいっさい盛り込まれなかった。
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(本誌:前野裕香 撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済2012年10月6日号)
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