イオン、「4期ぶり増益」でも消えない根本不安 低迷するGMSのテコ入れが急務

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食品スーパーや金融が好調な一方、GMSは低調だった(写真は4月13日の決算説明会での岡田元也社長。撮影:梅谷秀司)

国内流通首位イオンが4月13日に発表した2016年2月期の連結決算は、本業の儲けを示す営業利益が前期比25.2%増の1769億円と、4期ぶりの増益に転じた。売上高も買収効果などがあり、同15.5%増の8兆1767億円と過去最高だった。

 

食品スーパーやドラッグストアが躍進

事業別に見ると、食品スーパー(SM)事業とドラッグストア事業が大きく伸びたほか、金融や不動産事業も安定した稼ぎを出したことが、営業利益を押し上げた。一方、課題である総合スーパー(GMS)事業は、前期比19.1%減の93億円と減益に沈み、苦戦したままだ。

GMS事業担当の岡崎双一イオンリテール社長はGMS低迷の理由について、「改革が思うように進まなかった」と反省の弁を述べた。前期は新規出店よりも既存店の大型改装に軸足を置き、新業態の「イオンスタイルストア」への転換を加速。本部主導の画一的な売り場から、地域カンパニーへと主導権を移し、地場商品の品ぞろえや専門店化を進めてきたが、まだ道半ばだ。「成果が出るのに時間がかかり、当初計画に届かなかった」(岡崎氏)という。さらに、2015年11月~12月上旬の記録的な高温という環境悪、販促費の追加投入に加え、改装投資の集中による費用増も、利益を圧迫した。

GMS中核会社イオンリテールの既存店の客数を四半期ごとに見ると、前期末まで11四半期連続して前年割れが続く。客単価は上がっているが、補い切れていない状態だ。イオンの岡田元也社長は価格戦略について、「見直していかねばならない。急速に進む高齢化に対し、イオングループはドラッグストアを除けば、対応し切れていない」と述べるなど、今期以降にテコ入れしていく考えを示した。

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