西のレンガ外壁復元、ダイビル本館の建て替え進む

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渡辺説は古典主義をベースとした様式建築の設計を好んだ近代日本の建築家。重要文化財に指定されている大阪の綿業会館や東京の旧丸ビル本館を設計したことでも有名だ。“大ビル”の通称で知られた旧本館は、要部にさまざまな彫塑が施され外観を特徴づけていた。軒蛇腹にはテラコッタを積んで装飾され、全面は焦げ茶色のレンガ張り。なかでも中央玄関の半円アーチ上に飾られた「鷲と少女の象」はまさに旧ダイビル本館を象徴する塑像だった。その建築資材もすべて国産品で賄うという徹底ぶりだったという。

今回の建て替えにあたっては、旧ダイビル本館の壁面レンガを1個1個洗浄したうえで保存、建て替え後の新ビル低層階部分に再利用した。新ビルの約8割に旧ビルのレンガが使用されているが、足りない部分は新しいレンガにエイジング(経年による汚れや風化を再現した)処理を施し違和感なく仕上げられている。さらに旧ダイビルでは木製だった窓枠はサッシに替えられたとはいうものの、塗装は旧ビルに極力似せた色で塗り替えるという念の入れようだ。

同本館は、国土交通省から都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画にも認定された。これにより不動産取得税の5分の1が控除されたり、公園などの公共用地部分の固定資産税が5年間の減免措置を受けられることとなっている。

建物本体の完工は2013年2月で、メインテナントには大林組大阪本店の入居が内定している。北西にある約3300平方メートルの広場と堂島川遊歩道を結ぶ歩道橋は、同年8月完成の予定だ。

(筑紫 祐二 =東洋経済オンライン)

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