「ファン重視で急成長」の会社はココまでやる 「冷たい視線」をも受け入れる覚悟
爆発的に売り上げを伸ばす、クラフトビール業界最大手の「ヤッホーブルーイング」。毎年約130%成長という快進撃のきっかけは、第1回で書いたように、100人に1人でもいいからリピーター=ファンになってくれる個性的な製品を販売したことだった。
その後、同社は自社製品を広める応援団になってくれるほど熱烈なファンを獲得していった。SNSによる口コミが全盛の時代、同社はいかに、他社がつくりたくてもつくれない熱烈なファン層を獲得したのか。
井手直行社長の新刊『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』の構成を担当した経済ジャーナリストの夏目幸明氏が、同社の秘密に迫る。
ビール屋が、バイクの「ハーレー」になる!
「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングは、イベント会社かと思うほどさまざまな催しを行っている。
たとえば、よなよなエール公式ビアバル「YONA YONA BEER WORKS」で、ビールを飲みながら社員とファンがクイズ大会などで盛り上がる「宴」。年に1度、北軽井沢のキャンプ場でビールについて学ぶワークショップや心地よい音楽、ビールに合うフードを楽しむ「超宴」。いずれも有料だが、その人気ぶりには驚かされる。ファンはイベントの様子をSNSにアップし、「この場で出会って結婚した方たちもいる」というから、雰囲気のよさが伝わってくる。
ここまで人が集まるのはなぜか。それは、会社という法人が、友人やタレントのような魅力を持っているからだ。井手直行社長が意外な内幕を話す。
「実を言うと、我々が分析したのは『ハーレーダビッドソンジャパン』(米国のオートバイメーカーの日本法人)のマーケティングでした」
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