「ファン重視で急成長」の会社はココまでやる 「冷たい視線」をも受け入れる覚悟
表層に現われるのは「仮装」というふざけた行いで、スーツを着た経営者とともに仮装した井手氏が並ぶ写真は、大いに笑えもする。だが根本には「今までにないビールを知ってもらいたい! 大まじめなんです!」という知的さもあって、ただ迷惑な人とは違う……。
こうしてキャラクターを打ち出すことで、「よなよなエール」をはじめとするブランドは、単なるビールの銘柄でなく、自分を表わすアイテムと化していった。
ローソン担当者も驚くほどの盛り上がり
同時に進めたのは「ユーザーとの密着」だった。
「ハーレーもそうですが、ファンが多い企業はユーザーと企業との距離が近いんです。当社は、製品を広めてくださるファンの方を『伝道師』とお呼びしています。何がきっかけで伝道師になったのか、小規模のイベントで伺ってみると、醸造所見学やネットで注文をいただいたときに、社員と関わったことがきっかけになっていたんです」
「宴」を始めると、メールマガジンを受信し、同社のファンになっていた方たちが一斉にチケットを買ってくれた。それだけではない。
「イベント会場で酔ってしまったお客さんを介抱したり、『この駅に向かう方はこちらで~』とご案内してくださったり、社員がやるべき仕事をお客様が手伝ってくださる場面もあったのです」
次が「ネット上での飲み会」だった。井手氏は今までの過程で、成長のため、別の成長企業の分析をするクセを身につけていたのだろう。
「今度は洗車グッズを販売するお店をベンチマークしました。ネット上で、みんな一緒に車を洗うイベントを開催していたんです。たとえば『日曜の朝10時に、みんなで洗車しよう! その写真を送ってください!』と仕掛けると、雨のなかで洗車してくれるユーザーまでいる。ショップの方も一緒に洗車していて、ユーザーから送られてきた洗車風景の写真をネット上の店舗に飾ってくれるから、『売り手と買い手がつながっている』という感覚も持てました」
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