3 月から解禁となった、2017年卒(現4年生)の就職活動。採用活動のルール・指針を定めた経団連の「採用に関する指針」では、学生に内定を出す選考活動の活動時期を昨年の8月から6月と2カ月前倒ししたこともあり、3月の半ばから多くの企業が会社説明会を始めるなど、かなり速いスケジュールで就職活動が進んでいる。
前述の「採用に関する指針」では、スケジュールの大きな変更が注目されているが、それとは別に加わった項目がある。それは指針と同時に出される、「手引き」という、採用に関する指針についての文言の意味や具体例についてまとめたもの。この手引きの選考活動の留意点の中に、「大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい」という一文が載った。
自民党の若手議員の提言がきっかけ
これは選考活動の課程において、学生がどんな講義を受けてきたか、どんな学修をしてきたかを、面接など採用選考の中にもっと取り入れていこうというもの。「履修履歴面接」といった言葉も少しずつ登場している。
そもそも手引きにこうした一文が加わったのは、自民党の若手議員らが、「授業への優先順位が低いことに本質的な問題がある」として、履修履歴を活用するよう提言を出したことに始まる。さらに、馳浩・文部科学大臣が榊原定征経団連会長に要望。4月4日配信の馳大臣へのインタビューの中でも、「学業を重視するために、履修履歴を提出させて合否の判定材料にするよう要請した」と語っている。
しかし、「スケジュールが短縮された上に、学生に負担を増やす採用手法は取りにくいのでは」「学校ごとに評価の基準が異なるため判定に使うのは難しいのでは」と、就職関係者の間では採用現場に普及することに疑問符を打つ。さらに、「現時点で学生からの問い合わせはほとんどない」(法政大学キャリアセンター市ヶ谷事務課の大山賢一課長)と、まだ学生の間で履修履歴面接はあまり話題になっていないのが実状だ。
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