JAL“予想外”の成功で注目、稲盛氏の右腕 森田JAL特別顧問が明かすアメーバ経営の実際
だが違った。臨時便の運航や減便、機材の小型化、要員配置の変更など現場を中心に機動的に対応してくれた。だから、あのような非常事態があったにもかかわらず、予想を超えて大きな利益を計上することができたのだ。
--JALは政治との関係で振り回されてきた。路線撤退などに当たり政治家等、外部の介入はなかったか。また、今後、再び政治に振り回されることにはならないか。
不採算路線からの撤退は比較的問題はなかった。路線の収支が赤字なうえ、企業として経営破綻したわけだから、皆さん仕方がないと納得したのだと思う。多少のトラブルもあったが大きな障害はなかった。
また、アメーバ経営の導入によって、部門別収支管理の重要性は会社の中に浸透しており、それを徹底し続ければ、今後、昔に戻るようなことはないだろう。とはいえ、JALは一般の企業とは異なり、各方面からの注目度が高い。外部の圧力に左右されず、経営幹部がしっかりと収支を重視して経営し続ける必要がある。
今になって経営に失敗した破綻会社が優遇されている、といった意見もあるが、この仕組みで再建する、というのは、破綻したとき再建するために皆で決めたものだ。あとになっていろいろ言うのはいかがか。そうしたことをするのではなく、各社がそれぞれ経営努力をして競争し、業界を発展させていくのが正しいあり方だと思う。
医療機関へも導入拡大
--最近はアメーバ経営の医療機関への導入が増えている。また、今後、導入に挑戦してみたい分野はあるか。
医療機関向けには「アメーバ」では聞こえが悪いので「京セラ式病院原価管理手法」と呼んでいるが、病院であっても小集団部門別採算管理は有効だ。
医療は医師の指示の下で行われるが、実際には看護師やさまざまな技師などのコメディカル、事務など、医師以外の多くの人々が病院運営にかかわっている。医師だけでなく、こうした部門の人たちに経営への参加意識を持ってもらうことで、病院の業績には、大きな差が出る。