JAL“予想外”の成功で注目、稲盛氏の右腕

森田JAL特別顧問が明かすアメーバ経営の実際

 JALには数字を見る人間がいなかった。予算や運航計画はきっちり作られてはいたが、作ってしまえばあとはそれを実行するのみ。予算は消化型になっており、運航計画は決められたとおりに飛行機を飛ばすことが重要とされていた。

しかし、現実には、市場に合わせて企業活動は変化させなければいけない。そのためにはチェックが必要だ。京セラスタイルの業績報告会を設置し、毎月、細かな勘定科目ごとに予実差を説明してもらった。こうした活動を通して数字の重要性を浸透させ、さらにアメーバ経営の根幹である「小集団部門別採算管理」を実現するために、どのような組織やモノサシを作るか検討していった。

アメーバ経営では、事業部など利益を上げる部門であるプロフィットセンター、人事等の各事業体にサービスするノンプロフィットセンターに区分けする。プロフィットセンターはさらに細かな小集団に分け、それぞれに利益を上げる責任を持たせる。JALの中を見て、比較的早くにどのような組織形態を導入すべきか判断できた。しかしそれを押し付けることはしなかった。組織については、稲盛名誉会長を中心に、役員・幹部が何度も議論を行い決定していった。

アメーバ経営は、従業員が主体的に小集団の経営にかかわり、経営に参画するのが非常に重要なポイントだ。押し付けた組織や仕組みでは従業員は納得しない。従業員の納得がなければアメーバ経営はうまく機能しない。JALの人たちと話し合いながら半年くらいかけて組織設計を行い、10年12月に新体制をスタートさせた。

--具体的にはどのような仕組みを導入したのか。

航空事業では、基本的には、1便ごとに収支を管理するのがポイントだ。プロフィットセンターとしては、旅客航空機を運航する「路線統括本部」と、営業部門、さらに旅客機の荷物スペースを使って貨物を運ぶ部門に分けた。中核となるのは路線統括本部だ。路線統括本部は、国内、国際に分け、それぞれの中をさらに近接路線単位で小集団に分けて、それぞれにグループリーダーを置いた。

収支の可視化で協力が進む

アメーバ経営では、コストを可視化するために社内取引単価を決めている。「パイロット費用」「キャビンアテンダント費用」「空港費用」などの単価を細かく決め、これを基に1便ごとに収支をはじき出せるようにした。それまでは路線単位の収支が2カ月後にようやくわかる仕組みだったが、1便単位で翌日には収支がわかるようにした。

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