赤字国債法案通らず予算抑制の緊急事態
戦後初めての事態
安住淳財務相は8月31日、「今のまま、毎年の状況をそのまま踏襲して(予算を)使えば、11月の早い時点でおカネが本当に国からなくなる」と緊急事態宣言した。図のように、特例公債法案が成立しない場合、税収などで確保できる歳入は52兆円。9月末までに支出見込みの39・3兆円などを除いた6兆円余りのうち、例年のパターンを考えると、10月には5兆円超を使う見込みで、11月中に財源が枯渇する。そのため、9月以降、予算を節約して使うための対策づくりを急いでいる。
予算の執行抑制は戦後初めてのこと。8月31日に財務省が示した9月以降の予算執行抑制の「素案」によると、節約の対象になるのは「基本的に全経費」で、独立行政法人や国立大学法人、地方自治体向けの地方交付税などの支払いや執行を留保することが検討されている。都道府県向けの交付税は減額支給するなどの案が浮上しており、早ければ9月7日に具体的な執行抑制の金額などが示される予定だ。
影響は早速出始めている。4日に交付が予定されていた4・1兆円の地方交付税について、山梨県の横内正明知事は同日の記者会見で、「推定では320億円の全額が(山梨県に)来ることにはなりそうもない状況。資金収支がショートする可能性がある」と懸念を示した。
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