中国コンテンツ海賊版最新事情--正規版として流通する海賊版DVD、ゲームでは海賊版歓迎戦略も
現在、日本のコンテンツの海賊版は野放し状態。日本でアニメの最新話が出れば、あっという間に中国のYouTubeもどきのサイトにそれがアップロードされる。日本のコンテンツホルダーもクレームは発しているが、YouTubeもどきサイトで最も人気の「優酷網(Youku)」や「土豆網(Tudou)」は、日本からは動画が閲覧できないようにしているだけ。日本から動画データをアップロードすることはできるし、中国では見放題のままだから、まるで意味のない対策しか行っていないのが実情だ。
中国での海賊版撲滅は、関係者も「それ自体はしばらくは不可能」とあきらめているといったところ。そこで、海賊版の存在を前提にビジネスを進める動きが見られるようになった。
たとえば、最近では、中国の映画・ドラマ・アニメのコンテンツホルダーが、YouTubeもどきのサイト管理会社に対し、司法の場で損害賠償を請求するニュースが聞かれるようになった。撲滅が無理なら、海賊版配信業者に対して、損害賠償請求で利益を回収しようというわけだ。それなりにビジネスをしているサイトなら、正面からたたけば多少は取れると見ているようだ。
この9月に、権利管理会社のコンテンツバンク(東京都・峯岸俊介社長)が中国国内で中国企業と提携し著作権ビジネスを行うと発表するなど、日本のコンテンツ関連企業も中国市場には高い関心を寄せている。中国で権利ビジネスを展開するうえでは、ライセンス供与と同時に、損害賠償でたたくところはたたき、日本企業も海賊版に対し注目していることを中国の業者に間接的に訴えていくことが重要だろう。
法的手段だけでなく、動画サイトや海賊版を積極的に活用しようという動きもある。