改正産活法に基づく出資円滑化支援の格付けへの影響《ムーディーズの業界分析》

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 日本の事業法人の投機的格付けに関しては、政府や金融機関による支援の可能性の高さがすでに織り込まれている場合が多く、格付けへの上向きの圧力は限定的であろう。

仮に格付け対象となった企業が出資円滑化措置の対象となった場合には、(1)事業計画の内容、(2)資金調達の規模・条件等を勘案し、必要に応じて格付けに反映させていく。一方、政府や金融機関による支援の可能性がすでに織り込まれている格付けに関しては、その支援の可能性が低下した場合には、格付けにネガティブな影響が生じる可能性がある。

日本政府からの支援が事前に予見可能となると、企業経営者は、より積極的な事業戦略や財務戦略をとる可能性があろう。また、支援を通じて政府の関与が強まれば、市場環境の変化が激しく、より迅速な経営判断や対応が必要な事業では、ネガティブな影響が及ぼされる懸念もあろう。

2.日本政策投資銀行の格付けへの影響

出資を行うDBJにとってみれば、資金調達についてはJFCによる貸し付け等によって賄うことができることから、まず問題はない。しかし、想定どおりの配当金が得られなかった場合や、出資金が回収不能となり、その回収不能額がJFCからの損失補てんでカバーしきれない場合には、DBJの業績や財務にマイナスの影響が出る可能性がある。今年度の補正予算において、DBJによる改正産活法損害担保付出資スキームは、2兆円の枠が計上されているが、損害担保取引の損失補填割合は80%が上限となっており、出資のスケールや内容等によっては、DBJのベースライン信用リスク評価(BCA)にネガティブの影響を与える可能性がある。

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