改正産活法に基づく出資円滑化支援の格付けへの影響《ムーディーズの業界分析》

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 DBJをめぐっては、2009年6月、日本政策投資銀行法(DBJ法)が改正され、(1)2012年3月末まで政府による追加出資が可能となったほか、(2)完全民営化の時期についても、2017~19年と従来対比3年半延期され、(3)政府が常時DBJの発行済み株式の3分の1を越える株式を保有しDBJに対し国が一定の関与を行う等の検討も含めて、2012年3月末をメドとして会社の組織のあり方を見直すこととされるなど、ここにきてDBJと政府との関係はより緊密なものとなっている。

しかしながら、DBJの完全民営化の方向性が撤回されていない以上、ムーディーズでは長期資金貸与(枠10兆円)、保証の活用(枠5兆円)、CP買取(枠2兆円)等を含めたDBJによる中堅・大企業向け危機対応業務について、実際の出融資の実行額とリスク管理債権・与信費用の発生状況、回収不能額に対する政府補填の有無と割合等について、モニタリングを行っていく。そのインパクトが大きい場合には、DBJのBCA(1から21までの数値での評価で、1が最も信用リスクが低い)に悪影響が出る可能性も考えられる。しかしながら、完全民営化を依然として目的としている現状で、このような危機対応業務の結果、発生するかもしれない損失に対して、政府による財務上の手当てが十分になされない、ということは考えにくいと思われる。

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