美根:「アメリカに行けば、なんでもある」と言う人もいるけれど、そうではありません。日本人は親切でホスピタリティーがあるとか、北海道は雪質がいいとか。それによって周りの日本を見る見方が違ってくると思います。
木本:面白いですね。“いちばん”でなくて“特別”になればいい。安倍首相はどう考えているんでしょうか? 日本の偉い人は?
共産主義と古い中国の2重の構造
美根:そこはわかりませんが、そう思ってほしいですね。少なくとも文化的には広く日本の魅力は知られていて、クールジャパンもそうですが、どこの国にも真似できないものを持っている。
木本:芸人も演芸という一つの文化を背負っていますから、僕もがんばらんと。
美根:中国には10倍の人口がいて10対1ですが、対等の目線でつきあっていくことが、ますます必要です。私の経験を話しますと、中国の国民党の出身で、香港在住の人のお宅に下宿していた時に、「中国人のもてなし」に感心しました。日本にはない楽しみ方があって、古い中国文化だなと思いました。
木本:それは日本にはないものですか? それとも「ノリ」の問題ですか?
美根:生活の在り方ですね。友達がしょっちゅうその家に訪ねて来て、おしゃべりを楽しむ。15歳くらいの子どもに「お前ちょっと面白いことを話してみろ」と言うと、皆の前でちゃんとやってみせる。
木本:表現することを恥ずかしがらないんですね。ちょっとアメリカ人に似ているかも。
美根:表現力が豊かです。表現することの価値を知っていますね。でも日本人には違う価値があります。日本人は中国のいいところをずっと学んできた歴史がありますから、共産主義と古い中国の2重の構造になっている“中国”とうまくつきあっていければよい、というのが私の視点なのです。
木本:そういう視点が見つかっただけでも、これからの勉強がしやすくなりました。
(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)
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