富士通は構造改革を進めた野副社長が突然の辞任、当面は間塚会長が社長兼務
富士通は25日、野副州旦社長が病気療養を理由に同日付で退任することを発表した。当面は間塚道義会長が社長を兼任して、後任社長を選ぶ指名委員会を設置する。同日19時から東京・港区の本社で急遽開かれた記者会見の場に野副氏の姿はなかった。
昨年の6月に就任したばかりの野副氏の突然のトップ辞任。会見では間塚社長兼会長に、退任の理由である野副氏の病気についての質問が集中した。間塚氏によると、9月の連休前には今後のビジネスについて話し合いをもったのが、辞任前の野副氏との最後の面会だった。その際には「病気であるような状態とは思わなかった」(間塚社長兼会長)という。その後、25日の午前中に野副氏と面会をした際には疲れたような様子であり、病気のため治療に専念したい、という野副氏の希望をもとに、その直後に開かれた取締役会で退任を承認した、と経緯を説明した。
病状の詳細については「プライバシーを尊重する」という理由で明かされなかった。だが、決算説明会にも富士通の社長として初めて顔を出すなど、メディア対応に積極的だった野副氏だけに、本人の口から直接説明のない辞任劇に関係者も困惑する。
野副氏は、特定の事業部とのつながりが強いこれまでの富士通トップとは違い、管理部門が長く、海外経験も豊富な新味のある社長、として注目された。就任後は、海外事業の権限一本化、独シーメンスとの合弁会社を完全子会社化、豪州でアウトソーシング会社を買収するなど、低採算の海外事業のテコ入れに邁進した。また、この7月には経営戦略説明会を開催。2011年度の目標として過去最高となる営業利益2500億円を掲げ、赤字脱却に苦しむ他の電機メーカーとの差をみせつけた。また、その際には「米IBMと伍して戦えるようになりたい」(野副氏)と意気込みを述べたばかり。間塚社長兼会長は今後について「中計は皆で決めたものなので、変更はしない」としている。
富士通は、昨年の4月にも半導体子会社の富士通マイクロエレクトロニクスの社長が就任後わずか1カ月足らずで辞任している。間塚社長兼会長は「非常に元気にやってらっしゃったので、(野副氏の)後継に関してはあまり考えていなかった」」とする。IT投資が削減され、柱のITサービス事業などで厳しい環境の中、唐突なトップ交代が続くことが今後の経営に影響を及ぼす可能性もある。
(麻田 真衣)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2009.03 4,692,991 68,772 15,052 -112,388
連本2010.03予 4,820,000 90,000 70,000 95,000
連本2011.03予 4,900,000 150,000 130,000 62,000
連中2008.09 2,453,782 38,542 29,078 4,633
連中2009.09予 2,210,000 -35,000 -45,000 15,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2009.03 -54.4 8
連本2010.03予 46.0 6-8
連本2011.03予 30.0 6-8
連中2008.09 2.2 5
連中2009.09予 7.3 3
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