「ネットで資金調達」はアニメの新潮流になるか 消費者有利の時代を逆手に取った作品づくり

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本条:僕はそれまで、正直日本ではクラウドファウンディングはうまくいかないだろうと思っていたんですよ。日本にはそもそもあまり寄付文化がないし、投資詐欺のような案件も出てくるだろうし。日本では証券投資もなんとなく胡散臭い扱いをされるじゃないですか。日本ではファンディングに対して欧米より警戒感が強いから、日本では流行らないだろうし、自分がやるとは思っていなかったんです。

モノを作ったら売れるという時代ではない

本条:ただ、コンテンツは最初からグローバルに展開したいという気持ちがあり、日本の市場や文化だけに拘る必要はないとは思っていました。あと、モノを売り買いするコンテンツビジネスは「寿命が来ているのでは?」という感覚があります。

完成度の高いブルーレイやDVDを作ったら売れるという時代ではなく、むしろフェスやイベントに参加したり、ライブ会場でアイドルと触れあったりという形の消費スタイルが求められている。そこではCDなどのメディアはむしろオマケ、記念品のような存在です。その文脈の中で考えると、クラウドファンディングもひとつの今風のスタイルだと思ったんですね。

資金調達の方法というよりは、クラウドファンディング自体がコンテンツであり、エンターテイメントなのではないかと。

――とにかく踏み出してやってみようと。

本条:成功するかしないかよりは、1回やってみなければわからないという気持ちが大きいですね。公式サイトやPVなどの準備におカネはかかっても、クラウドファンディング自体に料金がかかっているわけではないので。

――失敗しても、それまで宣伝のために使ったおカネが無くなるだけで、銀行におカネを返さなきゃいけないわけでもないですしね。

本条:チャレンジしないほうが損失だな、と思ったんです。これをやることによってメディアの取材を受けたり、ニュースサイトに掲載されたりして注目されるわけで、それは宣伝費用を払う以上のプロモーションになっているかもしれない。

とにかく何かこれまでと違うこと、最先端のことをやっていかないとなかなか注目されないと思うんですよ。そういう立ち位置にいないと、もうコンテンツでは勝負できないんじゃないかなと思う時もある。うまくいくにしてもいかないにしても、今の時代はその方が潔いなと。

――スタッフの皆さんは、クラウドファンディングということにどのような考えを持っているのでしょうか。

本条:錦織監督がよく言っていたのは、彼はいろんなアニメをこれまで作ってきましたが、やはり従来型の枠組みでしかアニメ制作に関われなかった。クラウドファンディングだったりVR(仮想現実)だったりといった新しい試みが世界では出てきているのに、業界の最先端で働いているはずの自分が、なぜかそこに関われないというジレンマがあったようです。

彼にその「お題」を投げかけられて、どう克服するかを考えた末、新しい会社を立ち上げてクラウドファンディングを行うことを決めました。

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