3DSが思わぬ苦戦、任天堂復活への遠い道のり 「スプラトゥーン」大ヒットでも減益の苦境

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昨年10月の経営方針説明会で戦略を語る君島達巳社長。2015年度は「スプラトゥーン」が大ヒットしたものの全体業績は低迷した(撮影:今井康一)

任天堂の復活への道筋が、なかなか見えてこない。同社は2月26日、業績予想を下方修正した。2016年3月期の売上高は、当初予想の5700億円から5000億円に下方修正。円高の影響で200億円の為替差損が発生したこともあり、経常利益は550億円から250億円へ引き下げた。前2015年3月期の売上高5497億円、経常利益705億円から減収減益へ沈むことになる。

主因は、稼ぎ頭の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の苦戦だ。年末商戦の結果を受けて、年間販売台数を期初予想の760万台から660万台へ下方修正。採算性の高いゲームソフトの販売計画も、5600万本から4700万本へ引き下げた。前期は「大乱闘スマッシュブラザーズ」「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」「妖怪ウォッチ」など大型タイトルが相次いだことで6274万本を売り上げたが、一転して今期は25%も販売本数が落ち込むことになる。

2011年に発売された3DSは、今年で発売6年目を迎えることになる。販売台数は2013年3月期の1395万台をピークに下降トレンドが続き、ゲームソフトも2014年3月期の6789万本を天井に減少へ転じている。2月の投資家向け説明会で任天堂の君島達巳社長は、「3DSのビジネスは2016年3月期も引き続き大きな柱になってくる」と説明した。累計販売台数は世界で5800万台に達し、今後は子どもや女性をターゲットにした新作ゲームソフトを投入するなど“休眠ユーザー”を喚起する方針だ。しかし大ヒットゲームが出てこない限り、再成長を目指すのは簡単なことではない。

WiiU本体の普及は進まず

一方で、明るい兆しが出てきてもいる。普及が進まなかった据え置き型ゲーム機「WiiU」のソフト販売は2700万本(期初予想は2300万本)に上方修正。新作ゲームの「スプラトゥーン」が400万本超のヒットになったほか、「スーパーマリオメーカー」も人気を集めた。ただしWiiU本体に目を向けると、2012年の発売から累計販売台数は1260万台にとどまり普及が進んでいない。

ゲームビジネスはハードを広く普及させることで、外部のソフトメーカーが対応ゲームを開発してユーザーを広げていく好循環を生み出せるかが重要な戦略となる。あるゲームソフトメーカー幹部は、「(WiiUの普及台数では)販売本数が見込めないので開発は難しい。プレイステーション4向けのタイトルを出していきたい」と語る。ちなみに、2013年に発売されたソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション4」は、すでに世界で3500万台超が普及している。

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