ユニクロ無敵伝説が完成?「+J」で問いかける新しい価値《それゆけ!カナモリさん》

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■もはや無敵か……

 しかし、それには柳井正会長は既に答えを出している。990円ジーンズで一気に知名度が向上し、日経MJの2009年度上期ヒット商品番付入りもした「g.u.(ジーユー)」。3月10日の990円ジーンズ発表の記者会見で、柳井会長は次のように述べた。

「ユニクロはナショナルブランドの商品と比べても品質は高いが、最低価格では提供できない。まあまあの品質で低価格のものを求める人はジーユーでお願いしたい」。

「バリューライン」で考えてみよう。横軸に製品・サービスの「価格」、縦軸に「価値」の二軸を取る。すると、「安くてそれなりの価値のもの(安かろう、悪かろう)」「そこそこの価格で、ほぼ妥当な価値のもの(市場相場的価値)」「高くて価値の高いもの」という一本の線がひける。これがバリューラインだ。

当然、バリューラインを下回る、例えば「中間的な価格で価値が低い」ようなものは、市場から撤退を余儀なくされる。しかし、バリューラインを上回るものは、消費者の支持が得られることになる。「低価格なのに中間価格と同等の価値=グッドバリュー」「低価格なのに高価格のものと同等の価値=スーパーバリュー」という存在になる。

「まあまあの品質で低価格のもの」。つまり、「グッドバリュー戦略」のポジションをg.u.は目指している。ユニクロは元々高品質で低価格の「スーパーバリュー戦略」のポジションを目指していたが、g.u.との棲み分けで、高品質で中価格の「高価値戦略」のポジションに切り替え、収益確保を図ったと筆者は考えていた。

しかし、ユニクロの「価値」の軸を改めて考えてみると、実は依然「スーパーバリュー」のポジションにいるのではないかと考えざるを得ない。ユニクロが提供するものは、ただの高品質ではない。ヒートテックやドライ製品など高機能性も提供している。

 

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