東京医科大で露見した不正受給の全内幕、でたらめな算定、トップ主導の証拠…

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 手元に「退院レセプトの『治癒』表記について」と題し、松岡健氏(当時の病院名は東京医大霞ヶ浦病院)の名前が記された文書がある。日付は診療報酬改定直後の08年4月22日。院内の各診療科長宛に出した通知文書だ。

この中で松岡氏は「レセプト(診療報酬明細書)上『治癒』であっても、診療録(カルテ)上は『軽快、治癒傾向』などの表現でも構わないとの厚労省からの回答を得ております」などと記している。

つまり、厚生労働省の“御墨付き”があるので、治りかけの「軽快」や「治癒傾向」を治癒の扱いにしていいとのお触れを院内に出していたのである。

しかし昨年4月当時、厚労省がこうした通知を出した事実はなく、厚労省を引き合いに出し、独自の解釈で算定を行ったというのが真相だ。

がん拠点病院指定でも不正申請の疑いが浮上

残る三つ目の画像診断管理加算2の算定も、ずさん極まりないものだった。

同加算は、質の高い画像診断管理体制に対して診療報酬を手厚く配分するもので、放射線科の常勤医師がCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像法)などの画像を診断し、読み取った結果を文書で患者の主治医に報告した場合、患者1人に関して月1回に限り180点(=1800円)を加算として取得できる。ただし、検査後、翌診療日までに8割以上の読影結果が主治医に報告されていることが要件になっている。

しかし、茨城医療センターでは、加算の算定を開始した08年11月から09年5月まで、8割を上回る月は1度もなかった。にもかかわらず、「医師が頑張っている」(松岡センター長)ことを理由に、加算を算定し続けた。いくら現場の頑張りがあったとしても、客観的な要件を満たさなければ、診療報酬を取得することはできない。

つい最近まで不正が露見しなかったのは、診療報酬請求制度が「性善説」に依拠するもので、不正行為を逐一チェックする体制にはなっていないためだ。

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