東京医科大で露見した不正受給の全内幕、でたらめな算定、トップ主導の証拠…
ずさんな管理実態 不正認識後も算定継続
今回の不正受給は本誌の取材で明るみに出た。内部関係者から情報を入手し、1カ月以上前から取材を進めたうえで、7月18日、松岡センター長に個別取材を行った。
この際、松岡氏は「診療報酬を不適切な形で算定していたことは確かだが、故意はなかった」と繰り返し釈明。そのうえで「内部管理体制の不備が原因であり、不適切ではあったが、不正受給であるとの認識は持っていない」との説明に終始した。
一方、返還する診療報酬額については取材の中で二転三転。たとえば、医療事務作業補助体制加算を「返還の意向」としながら、「基本的には半年分(算定期間は14カ月)返す」とも言及。「最初から基準違反である以上、全算定期間で返還すべきではないか」とただしたところ、全額返還する考えに転じた。
結局、茨城医療センターは21日のプレスリリースで診療報酬を全額返還する方針を公表した。しかし、本誌の取材からは故意に不正を働いた疑いも浮上しており、単におカネを返しただけで、“無罪放免”となるわけではない。
問題となった三つの診療報酬のうち、医師事務作業補助体制加算と入院時医学管理加算は、ともに病院勤務医の業務軽減を目的として、政策的見地から設けられたものだ。そのため、前者の医師事務作業補助体制加算を算定する場合、(1)医師事務作業補助者として専従職員を配置する、(2)専従者に6カ月以上の研修期間を設ける、などといった加算の要件を満たす必要がある。
ところが同医療センターでは、病歴室や卒後臨床研修センター、医局秘書など、ほかの部署に所属する7名の職員が医師事務作業補助業務の専従者であると書類に記載。実際には専従者要件を満たしていなかったうえに7名に対して辞令を交付せず、本人に異動の通知すら出していなかった。医師事務作業補助者の名簿に登載されていた人物は、「(医師事務作業補助の)業務には携わっていなかった。名前を勝手に使われたことを知り、驚いた」と本誌に語っている。加算の要件となる研修もまったく行われていなかった。