ところが一方で、高卒の若者の所得を見ると2万5000ドルで、実はこの数字は2001年の2万9409ドルから下がり続けています。高卒と大卒の格差が拡大していることがはっきりとわかります。
広がり続ける「格差」
また同じ大卒者の中でも格差が存在します。いわゆる就職に有利な専攻科目、サイエンス、テクノロジー、エンジニア系、また看護師の学位(米国では看護師は4年制大学を卒業している)などが最も失業率が低く2%台だったのに比べ、地理や人類学などの文化系の学位取得者は8〜9%と高い失業率です。
この差は所得にも大きく反映され、エンジニア専攻の所得が6万ドルであるのに比べ、社会学専攻の人では3万3千ドルにとどまっています。
大学を出たからといって、高収入が得られるとは限らないという状況は、景気回復とともに格差を伴って定着してきていると言っていいでしょう。
それ以前の問題として、大学を出なければまともな収入は得られない、という状況も、かつて力をふるった製造業などの組合労働者の衰退と同時進行しています。
大学へ行くための学費は高騰を続けています。もともと所得が低く高等教育を受けにくいミレニアルズにとって、アメリカンドリームはますます遠いものになろうとしています。
このような状況下でアメリカンドリームに対する考え方が真っ二つに分かれるのは無理もないことかもしれません。
しかし彼らは目の前でアメリカンドリームが消えていくのを指をくわえて見ているわけではありません。次に述べるミレニアルズたちの雇用のトレンドを見ると、彼らのたくましさを垣間見ることができます。