マイナス金利で「金価格」が逆行高するワケ

1月中旬から1割上昇、小売店の販売も活況

今年に入ると、実体経済の悪材料が噴出。米国の追加利上げ期待は薄れ、足元では金に新規資金が流入しているとみられる。根拠として挙げられるのが、現物の裏付けがある、金ETF(上場投資信託)の純資産残高の増加。「中長期で運用する年金などが金の運用比率を高めている可能性がある」(貴金属アナリストの亀井幸一郎氏)。

そして国内で金の上昇トレンドを加速させたのが、1月29日に発表された、日本銀行による「マイナス金利」導入だ。小売価格(税抜き)は、1月の1グラム=4100円台から、2月中旬には4500円台に乗せた(右図)。

小売店もにわかに忙しくなってきたようだ。金販売大手・田中貴金属工業の1月の実績を見ると、販売量は買い取り量の約2倍の水準に達したという。実際、2月に同社の銀座本店を訪れたある高齢の顧客は、「戦後に預金封鎖をされた経験がある。今の政府や日銀の政策を見ていると、安心して現金を銀行に預けておくことはできない」と、その購買動機を語った。

過去の日本における最高値は6495円

金価格は日本固有の要因だけで動くものではない。しかし、「日本のマイナス金利は中央銀行の手詰まりを世界中の投資家に意識させた」と、亀井氏は分析する。ちなみに日本における小売価格の過去最高値は、1980年1月につけた6495円。当時は第2次石油ショック、ソ連のアフガニスタン侵攻が重なったうえ、1ドル=200円台前半の円安も後押しした。

では、金価格は今後、どう動くか。株の連続下落はひとまずやんだとはいえ、乱高下する神経質な展開が続く。米国では春にかけて、原油安で窮地に追い込まれた多数の中小シェール企業が負債の返済期限を迎え、デフォルト(債務不履行)懸念がささやかれる。世界で信用不安がくすぶる中、金価格は持続的な押し上げ圧力がかかりそうだ。

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